3Dプリンター、買って何に使う?使って分かった5つの良さ|設計できなくても始められる

※この記事にはアフィリエイトリンクを含む場合があります。Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。リンク経由で購入された場合に当サイトへ紹介料が入ることがありますが、掲載している内容は私が実際に作って使ってきたものに基づいており、紹介料の有無によって内容を変えることはありません。
3Dプリンターは面白そう。でも、買って何を作るのかが思い浮かばない。設計もできないし、買っても使わなくなるかもしれない。
購入を迷っている人がいちばん引っかかるのは、たぶんこのあたりだと思います。
私は会社員をしながら、3Dプリンターで自転車の部品を設計・製造・販売しています。ただ、最初から上手に使えたわけではありません。この記事では、実際に作ったものと一緒に、買ってよかったと感じた5つの良さを、つまずいたことも含めて紹介します。
先に書いておくと、**「買えば必ず元が取れる」「簡単に稼げる」という話ではありません。**自分のアイデアを形にして、楽しみと経験を得る道具として検討してもらえたらと思います。
動画:5つの良さを実物で
実際に作ったものの映像は、動画で見るのが早いです。
1. 設計できなくても、作る楽しさを試せる
3Dプリンターは、全部自分で設計しないといけないものだと思われがちです。でも実際は、**公開されているモデル(データ)を使えば、一から形を作らなくても印刷できます。**無料で使えるものもあります。
私も、掃除機の壊れた部品を、公開されているデータを使って修理したことがあります。飾るものだけでなく、こういう「直す」使い方もできます。

公開データを印刷して直した、掃除機のボタン部品(本人撮影)
※使ったモデルは、Valentin Bさんが公開されているDyson v6 Click Buttonです(ライセンス:CC BY 4.0)。
ただ、買った当初の私は、こういう始め方を知りませんでした。難しいものをいきなり設計しようとして、なかなか進まなかったんです。設計も印刷も、最初から全部覚えようとしていました。
だから今から始めるなら、順番はこれで十分だと思います。
- まず、欲しいもののデータを探す
- 対応する材料や印刷条件、利用ルール(ライセンス)を確認する
- 一つ印刷してみる
なお、データが無料でも、材料費や電気代などはかかります。修理に使う部品は、用途や安全性の確認も必要です。
2. 身近な「ちょっと困った」を、自分で解決できる
自転車の部品を作りたくて買った3Dプリンターですが、最初の大きな成功体験は、意外にも洗濯機でした。
洗濯機を買い替えたら、ホースと接続先のサイズが合わなかったんです。そこで、入口と出口の大きさが違う、簡単な継ぎ手を設計しました。複雑な機械ではなく、パイプのような形です。

洗濯機のホースと接続先をつないだ、黒い継ぎ手(本人撮影)
寸法を測って、作って、取り付けたら一度でうまくいきました。**「おお、使える!」**と思えたことが、もっと作りたくなるきっかけになりました。自分で考えたものが本当に役に立つのは、やっぱりうれしいです。
もちろん、すぐ買えるものなら買うこともあります。「何でも作る」ではなく、ぴったりのものがないときに「作る」という選択肢が増える、というのが実感に近いです。
※これは私個人の使用例で、同じ方法の安全性や耐久性を保証するものではありません。水漏れなどのリスクがある箇所や安全に関わる部品は、メーカー指定品の使用や専門家への相談を優先してください。
3. 趣味の道具を、自分好みにできる
趣味の自転車では、**ライトをゴムバンドで取り付ける見た目が、ずっと気になっていました。**使えるけれど、もうちょっとこうしたい。そこで、自分が納得できるライトマウントを作り始めました。
ところが、最初からうまくはいきませんでした。**取り付けが固すぎたり、壊れたり。**作れたら完成、ではなかったんです。
硬い材料の本体に、柔らかいTPUのバンドを組み合わせるなど、作り直しながら今の形になりました。

自作のライトマウント。写真は現在の製品例で、初期のものではありません(本人撮影)
既製品を探すだけでなく、「ここを変えたい」を自分で試せるのが、3Dプリンターのいいところです。
商品を入れるケースも同じです。中の仕切りまで作れば部品がぴったり収まり、入れ忘れにも気づきやすくなります。

自作した商品の専用ケース。中の仕切りまで印刷している(本人撮影)
3Dプリンターそのものを趣味にしてもいいですが、今ある趣味をもっと楽しむ道具にもなります。
4. 簡単なものでも、アイデアとスキルが育つ
便利なものを作るには、難しい設計が必要そうに見えます。でも、私が作った道具には、かなり単純な形のものもあります。
その一つが、ミラーを決まった幅で切るための治具(じぐ)です。
- 1つ目の治具で、大きなミラー板から決まった幅の帯を切り出す
- 2つ目の治具で、その帯を小さなミラーに切り分ける
以前は、毎回ものさしで測って線を引いていました。それを、治具に当てるだけで位置が決まるようにしました。毎回測る代わりに、道具に幅を覚えてもらうイメージです。

板の端に治具を当てて、幅を決めて切る(本人撮影)

印刷を終えて、プレートから外す前の治具(本人撮影)
私の記憶では、設計が5分、印刷が30分くらいでした。ただし、これは経験を積んだ後の話です。すごいのは形の複雑さではなく、「こうすれば楽になる」という発想のほうだと思っています。
CADも最初は独学でした。機能を全部覚えようとするより、「この部品を作るには?」と必要なことを調べるほうが、取り組みやすかったです。作りたいものがあると、それが勉強する理由になります。
失敗も多いです。それでも「これならできるかも」と考えて、作って、うまくいく。その経験は次に作るものにも使えますし、「できた!」が少しずつ増えていくのは楽しいです。
5. 人に喜ばれて、次の可能性につながる
自分用に作ったライトマウントをSNSに載せたら、反応がありました。出品してみると売れて、「別のライト用はない?」という声にもつながりました。自分のために作ったものを、ほかの人も欲しがってくれたのはうれしかったです。
ただし、簡単に儲かった話ではありません。**初期には破損の連絡もあり、返金や対策品の対応をしました。利益が出ず、マイナスだったこともあります。**売るなら、使ってもらう責任もあります。
その経験が、材料や設計を調べたり、強度を実測したりすることにつながりました。

材料の強度を実測している様子(本人撮影)
測った結果は、機能部品に向くフィラメントを20種類比べた記事にまとめています。
身につけた設計や3Dプリントの経験は、本業にも活かせています。でも、販売や仕事まで目指さなくてもいいと思っています。家族や友達に喜んでもらったり、SNSで反応をもらったりするだけでも、作ったかいはあります。
私が続けているのも、考えたものが形になって、それを人に使ってもらえる楽しさが大きいからです。
買う前に知っておきたいこと
いいことばかり書いてきましたが、誰にでも合うとは言えません。
- 置き場所が必要です
- **材料代がかかります。**データが無料でも、材料費や電気代は必要です
- **失敗や学習の時間がかかります。**私も最初はなかなか進みませんでした
- 公開データは、ライセンスと印刷条件を確認して使います
- 修理部品や水回りなど、安全に関わる部分は慎重に判断します
「買えば得する」というより、自分が何を楽しめそうかを考えるのが大事だと思います。
迷っているなら、まず「作ってみたいもの」を3つ探す
購入を迷っているなら、**まずは作ってみたいものを三つ探してみてください。**無料の公開データでも、身近な困りごとでも構いません。
いきなり難しいものを目指さず、まずは一つ「できた」を作るところから始めるのがおすすめです。
最初の材料選びで迷ったら、PLA・PETG・TPUを実物で使い分けた記事が入口になります。
関連記事
- 3Dプリンター初心者のフィラメント選び|PLA・PETG・TPUを実物で使い分け|最初の材料選びの入口です
- 【3Dプリンタの機能部品】最適なフィラメントは何か?20種類を実測で比較|強度を実測した記録です
- Oakley Jawbreaker専用バックミラーを3Dプリンタで自作した全記録|自分のアイデアを形にした実例です
まとめ
- 設計できなくても始められる:公開データを探して、条件を確認して、一つ印刷する
- 身近な困りごとを解決できる:ぴったりのものがないとき「作る」という選択肢が増える
- 趣味の道具を自分好みにできる:作り直しながら、納得できる形に近づける
- アイデアとスキルが育つ:単純な形でも、発想しだいで作業が楽になる
- 人に喜ばれ、次の可能性につながる:ただし、売るなら責任もある
「こういうものがあったらいいな」と考えるのが好きなら、3Dプリンターは、自分の可能性を試すものづくりへの自己投資になるかもしれません。
みなさんなら、何を作ってみたいですか?
実際に作って分かったことや、材料を試した結果はつくはるガレージでも公開しています。一緒にものづくりを楽しみたい方は、チャンネル登録をお願いします。
