ロードバイクのライトが眩しすぎる問題を3Dプリンタで解決|CATEYE AMPP800用の防眩シェードを自作した記録

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夜のライドで、前から来る自転車のライトが眩しくて目をそらした経験はありませんか。逆に、自分のライトが相手には眩しいのでは、と気になったことはないでしょうか。
私は3Dプリンタでロードバイク用の部品を設計・製造・販売しています。自分でも夜に走るため、明るいライトほど、対向車や歩行者への配慮が必要だと感じてきました。
そこで、CATEYEのヘッドライト「AMPP800」に被せる防眩シェードを3Dプリンタで作りました。この記事では、その設計の考え方、印刷、ミラーで足元を照らす工夫、実走で見えたことをまとめます。
- AMPP800の形に合わせて、上向きの光をカットするシェードを設計した
- カットされる光がもったいないので、ミラーで地面側へ向ける工夫も試した
- 実走では、対向側から見ると光がカットされ、ライダー側は足元がしっかり照らされた
- 一方で、遠くへの明るさはシェードなしのほうが感じやすく、ライトの角度調整が必要そうだった
設計から実走テストまでを約9分半にまとめた動画です
眩しさの問題:明るいライトは、相手には負担になる
最近のロードバイク用ヘッドライトは、かなり明るいものが増えました。夜道を安心して走れるのはありがたい反面、光が上向きに漏れると、対向車や歩行者にとっては眩しく、迷惑になることがあります。
動画の冒頭でも、ライトを正面から撮った映像は「すごく眩しい」というのが率直な印象でした。
なぜCATEYE AMPP800向けに作ったのか
使ったのは、CATEYE AMPP800です。最大800ルーメンの明るさがあり、夜間走行ではとても頼りになります。そして、この六角形の形状が気に入って、普段から愛用しています。
市販品では、なかなか自分のライトにぴったり合う防眩パーツが見つかりません。だったら3Dプリンタで自分専用を作ってしまおう、というのが出発点です。
AMPP800の独特な形に合わせて作るため、ライトの形状を正確に再現することが最初の仕事でした。
設計の考え方
まず、ライトのほうを正確にモデリングする
シェードはライトに被せるものなので、ぴったり合わせるには、本体の形が正確に分かっていないといけません。そこで、次の手順を踏みました。
- ライトの正面・側面・上下をスマホで撮影する
- 事前にノギスで実寸を測っておく
- 写真をFusion(3D CAD)に取り込み、測った寸法に合わせて画像の大きさを調整する
- 写真に合わせながら、ライト本体のモデルを作る
少し面倒ですが、画像を見ながら丁寧に形を起こしていきます。
シェードの形:5つのポイント
シェード自体は、頭の中のイメージを少しずつ形にして、「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤しながら作りました。この時間が、私は一番楽しいところです。

シェードを付ける前のライトのモデル(CGです)

シェードを被せたモデル(CGです)
動画で説明している設計の工夫は、次のとおりです。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 上面 | ライトの角形を生かし、上面はストレートに下がる形にした |
| 裏側 | 光が拡散するよう、ラウンドをつけた |
| 先端 | あとでミラーを取り付けるため、先端に溝を作った |
| サイド | ライトの側面も光る部分があるため、スリットを入れた |
| 抜け止め | ストッパーを溝に入れ込む形にして、抜けにくくした |
ボタン周りは、操作の邪魔にならないよう抜いています。
印刷:薄い部分があるので、ポリカーボネートを選んだ
モデリングデータをスライサーに取り込み、印刷条件を決めます。
材料はポリカーボネート(PC)です。今回のシェードには薄い部分があるため、強度の高い材料を選びました。使ったプリンターはPrusa MK4Sです。
条件で気を使ったのは、ビルドプレートとの接地面が少ないことです。そこで、接地面積を増やすラフトと、サポートをつけて印刷しました。

印刷後のシェード。ラフト付きで、立てた状態でビルドプレートに載っています(撮影素材より)

取り外したシェード。側面のスリットが見えます(撮影素材より)
動画概要欄では、PCフィラメントとして、PrusamentのPC BlendとPolymaker PolyMax PCを紹介しています。
印刷したシェードをライトに被せると、しっかり固定できました。これだけでも、上向きの光はカットできます。
ミラーで、カットした光を足元へ向ける
このままだと、シェードに当たった光が捨てられてしまいもったいないので、光が当たるシェードの裏側にシート状のミラーを貼って、カットした光を下向きに変える工夫も試しました。
先端に作った溝は、ミラーを差し込む形を考えたものです。動画では、シート状のミラーを貼って、反射した光が足元を照らすのを確認しています。
ミラーで光の何割を足元へ回せたか、といった数値は測っていません。あくまで、見た目で確認できた範囲の話です。
実走で比べてみた
実際にハンドルに取り付けて、走って確かめました。まずは取り付けた状態です。

シェードを取り付けた状態を、2つの角度から撮りました。サイクルコンピューターの下に付けています(撮影素材より)
対向側の目線
前から来る人の目線に近い映像です。

左がシェードなし、右がシェードあり。対向側から見た映像の切り出し(撮影素材より)
シェードがないと、かなり眩しく、少し不快に感じるかもしれません。シェードをつけると、光がしっかりカットされているのが分かります。
ライダー目線
次に、走っている自分の目線です。

左がシェードなし、右がシェードあり(ミラー付き)。ライダー目線の映像の切り出し(撮影素材より)
シェードありのほうが、足元がしっかり照らされています。一方、シェードなしのほうが、遠くまで明るく感じるというのが正直なところです。ここは、ライトの角度を調整すれば改善できそうだと考えています。
なお、これらは別々に撮った映像の切り出しで、カメラの露出も自動です。明るさそのものの厳密な比較ではなく、傾向を見るためのものとして受け取ってください。
注意点
この防眩シェードを使う場合、次の点は知っておいてください。
- 自作のパーツです。CATEYE社の純正品ではありません
- 取り付けやライトの向き、見え方は、各自の環境で必ず確認してください
- 遠くの見え方はシェードなしと変わるため、ライトの角度は走って調整するのがおすすめです
- 手作りのため、表面に積層痕やわずかなバリ、個体差が出ることがあります
すべての場面で他人に眩しくなくなる、とまでは言えません。私の使い方で、こう見えた、という記録として読んでください。
2022年のシェードとの違い
実は、同じテーマのシェードは2022年にも作っています。
当時の記事では、3Dスキャナーでライトを読み取り、PLAで作ったメッシュ形状のシェードを紹介しています。上向きの光だけカットする工夫を、スライサーの設定でつくったものでした。
今回のAMPP800用との違いを、並べておきます。
| 2022年(オーライトRN系) | 今回(CATEYE AMPP800) | |
|---|---|---|
| 形状の取り込み | 3Dスキャナー | 写真とノギスの寸法から、Fusionでモデリング |
| 材料 | PLA | ポリカーボネート |
| 光のカット | メッシュ形状 | ライトの角形を生かした形 |
| 印刷の工夫 | - | ラフトとサポート |
このシェードは販売しています
今回作った防眩シェードは、3D Fit Designのオンラインショップで販売しています(在庫がない場合は受注生産です)。
対応するライトはAMPP800のみで、他のモデルには使えません。ブラックのポリカーボネート製です。価格は1,580円です(2026年10月時点の掲載価格)。購入前に、ショップのページで最新の内容をご確認ください。
まとめ
- 明るいライトは、光が上に漏れると対向車や歩行者に眩しいことがある
- CATEYE AMPP800の形に合わせて、上向きの光をカットするシェードを自作した
- 写真とノギスの寸法からライトをモデリングし、薄い部分があるのでポリカーボネートで印刷した
- カットした光は、ミラーで足元へ向ける工夫も試した
- 実走では、対向側は光がカットされ、ライダー側は足元がしっかり照らされた
- 遠くへの明るさは、シェードなしのほうが感じやすいので、ライトの角度調整が必要そう
- 自作の非公式パーツ。取り付けや見え方は、各自で必ず確認する
「こんなパーツがあったらいいのに」を、3Dプリンタならすぐ形にできます。ものづくりが好きな方には、本当におすすめです。
設計から実走までの過程は、つくはるガレージでも公開しています。こんなパーツがあったらいいな、というアイデアは、ぜひコメント欄で教えてください。

