スペシャライズドのパワーサドルは、私がもう8年以上使い続けているサドルです。最初は普通のパワーサドル、次に3Dプリントのクッションを使った旧型のMirror、そして今は新型のS-Works Power EVO with Mirrorに乗っています。

3本とも幅は143mm。お店でスペシャライズドの測定器を使って測ってもらったサイズです。

先に結論を書きます。

  • 連日の長距離でお尻が痛くなる人には、3Dプリントの「Mirror」は試す価値がある。私は普段座る後ろ側の痛みが、旧型Mirrorで出なくなりました
  • 前乗りもする人なら新型EVO。旧型で少し気になった先端の痛みが、新型ではなくなりました
  • 軽さ重視、または短い距離が中心なら通常のパワーサドル。3本の中でいちばん軽く、価格も抑えめです
  • 不満は価格だけ。新型は公式価格で69,300円(税込)です
スペシャライズドのパワーサドル3本(通常・旧型Mirror・新型EVO Mirror)

左から通常のS-Works Power、旧型Power Pro with Mirror、新型S-Works Power EVO with Mirror(すべて143mm)

動画:3本の実物と、3Dプリントの仕組み

3Dプリントのクッションの構造や、3本を並べた様子は動画でも紹介しています。

3本のスペック比較(実測重量つき)

通常のパワーサドル旧型Mirror新型EVO Mirror
モデルS-Works PowerPower Pro with MirrorS-Works Power EVO with Mirror
幅143mm143mm143mm
レールカーボンチタンカーボン
クッションフォーム3Dプリント(格子構造)3Dプリント(格子構造)
実測重量160.6g250.3g217.8g
使用期間2017年ごろ〜(今はサブ機)2023年4月〜(約3年半)2025年11月〜
公式価格(税込・2026年10月時点)39,600円(S-Works Power Carbon)現在は国内公式ストアで取扱なし69,300円
パワーサドル3本の実測重量 160.6g・250.3g・217.8g

手持ちのデジタルスケールで測った実測値。左から160.6g、250.3g、217.8g

重さは、3Dプリントのクッションを使うMirrorの2本が重くなります。旧型はチタンレールなので、3本の中でいちばん重い250gでした。新型はカーボンレールのS-Worksで217.8gです。

ただ、この3本はグレードもレールも違うので、純粋な「クッションの違いによる重さの差」ではありません。私の手元にある個体の実測値として見てください。

旧型Power Pro with MirrorのチタンレールのTi ALLOY表記

旧型のレールには「Ti ALLOY」の表記。チタンレールのProグレードです

通常のパワーサドル:お尻の痛みを最初に解決してくれた1本

普通のパワーサドルは2017年ごろから使っていて、2018年にお尻の痛みが解消したサドルとして記事にしています。当時は100km以上走るとお尻が痛くなっていたのが、このサドルで解消しました。300kmのロングライドも、このサドルで走っています。

今回の動画では「2時間くらい乗ると、お尻に少し痛みが出ることがあった」と話しました。2018年の記事と矛盾するように見えますが、変わったのはサドルではなく私のほうです。

  • 2018年ごろは、いちばん乗り込んでいた時期で、ペダルにしっかり力がかかっていた。そのぶんお尻にかかる負荷が少なかった
  • 今は当時より体重が5kgほど重い

ペダルに体重を預けられなくなると、そのぶんサドルに体重が乗ります。同じサドルでも、乗る人の状態で評価は変わる、というのが正直なところです。

今はDOGMAに付けていますが、DOGMA自体にほとんど乗っていないので、出番は少なくなりました。3本の中ではいちばん軽く、価格も抑えめなので、短めの距離が中心の人や、軽さを重視する人には今でも良い選択だと思います。

旧型Mirror:普段座る後ろ側の痛みがなくなった

旧型のMirrorは2023年4月に購入しました。届いたときの投稿もXに残っています。

旧型Mirrorサドルを付けたロードバイク

旧型Mirrorを付けていた自転車

替えてすぐに感じたのは、普段座っている後ろ側がとても快適になったことです。通常のパワーサドルで出ていた長距離でのお尻の痛みが出なくなりました。

一方で、気になった点もあります。

  • 前乗りしたとき、先端で少し痛みが出る
  • 長時間走ると、尿道のあたりが少し痛くなることがある

平地で先端に座り直して踏むような場面では、この先端の当たりが気になりました。

約3年半使った耐久性

「こんなに穴だらけで、長く持つの?」と思われるかもしれません。撮影時点で約3年半使っていますが、今のところ使ううえでの問題は感じていません。

ただ、少しずつヘタっていて、慣れて気づいていないだけの可能性はあります。新品と比べて測ったわけではないので、「3年半使っても快適さに満足している」という私の実体験として受け取ってください。

新型EVO:前乗りの不満もなくなった

新型のS-Works Power EVO with Mirrorは、2025年11月から使っています。SL8を買ったのと同じ時期です。ここまでの最長は120kmほどです。

S-Works Power EVO with Mirrorを付けたTarmac SL8

新型EVOを付けたTarmac SL8

新型では、旧型で気になっていた先端も適度な硬さになっていました。私には、柔らかすぎず硬すぎない、ちょうどいいバランスに感じます。前乗りしたときの不満もなくなりました。

新型Power EVO with Mirrorの先端側の格子構造

新型の先端側。格子構造がノーズの近くまで続いている

スペシャライズドの公式動画によると、新型は3年かけて開発され、その中で圧力の分布を測定したそうです。ノーズの幅を約1cm広げ、中央の開口部のふちが当たりにくい形に変えた、とも説明されています(参考:Specialized Japan 開発の裏側)。

私が先端も快適だと感じたのは、クッションの格子だけでなく、この形の変更も関係していそうです。

新型Power EVO with Mirrorの格子構造のアップ

新型の格子構造のアップ

3Dプリントのクッションは何が違うのか

Mirrorのクッションは、細い部材が立体的につながった格子(ラティス)構造です。同じ材料でも、格子の細かさや部材の太さを変えることで、場所ごとに「しっかり支えるところ」と「沈み込むところ」を作り分けられます。

普通のサドルも、硬さの違うフォームを組み合わせて場所ごとの感触を変えています。3Dプリントでは、その調整を構造で、より細かくできるのが特徴です。

ちなみに作り方は、私が普段使っている家庭用の3Dプリンタ(FDM方式)とは違い、光で樹脂を固める方式です。新型では、湿気を吸いにくい材料に改良されたとも公式に紹介されています。

3Dプリンタで部品を作っている立場から見ても、「形だけでなく使い心地まで設計している」点がこのサドルのいちばん面白いところです。

価格以外の不満はない

3本を使ってきて、価格以外の不満はありません。

ただ、その価格が大きいのも事実です。新型は公式価格で69,300円(税込)。サドルとしてはかなり高く、気軽に勧められる値段ではありません。

どんな人に、どれを勧めるか

こんな人おすすめ
連日長い距離を走ると、お尻が痛くなるMirror(新型EVOがおすすめ)
前乗りすることが多い新型EVO
軽さを重視する/短めの距離が中心通常のパワーサドル
まずパワーサドルの形が合うか試したい通常のパワーサドル

私がいちばん勧めたいのは、**「もっと長く乗りたいのに、お尻が痛くてなかなか乗れない」**という人です。Mirrorは、その「乗りたいけど乗れない」を解消してくれるサドルでした。

一方で、サドルはお尻の形や乗り方で合う合わないがはっきり分かれます。まずはパワーサドルの形が自分に合うかを確かめてから、Mirrorに進むのが失敗しにくい順番だと思います。

サドル下のライト・レーダーホルダについて

私は3Dプリンタで、パワーサドル用のライトやレーダーのホルダを作って販売しています。

旧型Mirrorにも新型EVOにも、どちらにも取り付けできます。ただし新型は、シェル(サドルの土台)とボルトの台座面の段差が少し大きいので、取り付けるときはその点を確認してください。

まとめ

  • 通常のパワーサドルは、3本の中でいちばん軽く(160.6g)、お尻の痛みを最初に解決してくれたサドル
  • 旧型Mirrorは、普段座る後ろ側の痛みがなくなった。前乗りでは先端に少し痛みが出た。約3年半使って、今のところ問題なし
  • 新型EVOは、先端も快適になり、前乗りの不満もなくなった。不満は価格(69,300円)だけ
  • 連日の長距離でお尻が痛くなる人には、Mirrorは試す価値がある

座り心地は、私の体と乗り方での感想です。購入前には、できればお店でサイズを測ってもらい、試乗用サドルなどで確かめてみてください。

ABOUT ME
つくはる
つくはる。地方在住のロードバイク乗り&3Dプリンタ愛好家。40歳手前からロードバイクに出会い、メタボ体型から脱却して以来ロードバイク歴15年以上。現在は「3Dフィット工房」の屋号で、3Dプリンタを使ったロードバイク関連オリジナル部品の設計・製造・販売を行っています。ブログでは実際に使った機材のレビューや自作パーツの開発ストーリー、副業・節約のリアルを等身大でお届けします。