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3Dプリンターを買ったけれど、PLA・PETG・TPUのどれを買えばいいのか。私なら、まずはPLAで小物をひとつ作ることをおすすめします。最初から全部そろえる必要はありません。

私は「つくはるガレージ」で材料試験やものづくりを紹介し、自分で設計した部品を製造・販売しています。今回は、実際に使っている箱、ライトマウント、FLEXLOCKを例に、材料をどう使い分けているかをまとめました。プリンター選びではなく、購入後のフィラメント選びの話です。

結論:最初はPLA。必要な性質が出てきたらPETG・TPUへ

材料私が選ぶ理由実際に作っているもの
PLA手頃な費用で印刷に慣れやすい。私の環境では糸引きも少ない発送用の箱、インナーボックス
PETGしならせて組み付ける部品に使いやすい箱の蓋、ライトマウント、スナップフィット部品
TPU柔らかい部品やバンドを作れるライト固定バンド、FLEXLOCKの接触部分

これは私の設計・使用環境での使い分けです。「PLAは弱い」「PETGなら壊れない」という順位表ではありません。同じ材料でも、形状、厚さ、積層方向、印刷条件で使い勝手は変わります。

動画:実物を曲げたり組み付けたりしながら解説

YouTubeで動画を見る。本人の実演・解説を中心に、一部の補足ナレーションには本人の声をもとにしたAI音声を使用しています。

PLA:まずはたくさん作って、印刷に慣れる

私も最初はPLAから始めました。いまでもELEGOOのPLAをよく使っています。費用を抑えながら試作を繰り返しやすく、古いPRUSA MK3Sでも私の用途では比較的扱いやすかったからです。

動画では購入経験として1巻き約1,500円、セットなら約1,300円という話をしていますが、現在価格を保証するものではありません。セットを選ぶときは合計金額だけでなく、1巻きの重量、色、本数を確認してください。まず1巻き使ってみてから、使い慣れた材料をまとめ買いする進め方でも十分です。

箱とインナーボックスはPLAにしています

動画内で説明するPLA製の箱とインナーボックス
動画内で説明するPLA製の箱とインナーボックス(本人撮影動画より)

販売する商品を入れる箱と、中で商品を保持する白いインナーボックスはPLAです。箱には薄さと印刷のしやすさを求めています。インナーのような細かな形状は、私の環境ではPETGよりPLAのほうが糸引きが少なく、きれいに仕上げやすいと感じています。

この箱を使うことで、発送用の外袋をプチプチ袋から色付きの袋へ変更し、梱包コストを下げられたのも利点でした。ただし、必要な保護性能は中身や配送条件に合わせて確認する必要があります。

PETG:同じ箱でも「蓋だけ」は材料を変える

PETG製の蓋をしならせて箱に組み付ける実演
PETG製の蓋をしならせて箱に組み付ける実演(本人撮影動画より)

箱の蓋はPETGです。私の設計では、ヒンジ部分を箱のくぼみにはめる際に、蓋をかなりしならせる必要があります。薄く作った蓋をPLAで組み付けたときは、パキンと割れてしまいました。

そこで、しなりを使えるPETGに変更しました。「箱だから全部PLA」「丈夫にしたいから全部PETG」と決めるのではなく、部品ごとに必要な性質で選んでいます。蓋の形や厚さを変えれば別の選択肢もありますが、いまの構造にはPETGが合っています。

ライトマウントやスナップフィットにも活用

ライトを入れるときに開き、戻る力で保持するマウントや、パチンとはめ込むスナップフィットにもPETGを使っています。私の商品づくりでは、印刷のしやすさと機能のバランスがよく、主力の材料です。

ただし、PETGも何度曲げても壊れない材料ではありません。根元の形、曲げる量、積層方向を含めて確認が必要です。PLAの耐熱性には注意が必要ですが、PETGにしたから高温用途で安心、という意味でもありません。

TPU:小さな柔らかい部品で、作れるものが広がる

PETGとTPUを組み合わせたFLEXLOCKの実演
PETGとTPUを組み合わせたFLEXLOCKの実演(本人撮影動画より)

TPUは最初からそろえなくてもよい一方、使えるようになると作品の幅が広がる材料です。ライトマウントでは、本体をPETG、ライトを押さえるバンドをTPUにしています。小さなバンドですが、これがあることで商品として成立しています。

FLEXLOCKもPETGとTPUの組み合わせです。ロードバイクの前輪とフレームを保持するために、硬い本体と柔らかい接触部分を使い分けています。ライト用マウントとは別の商品です。

動画で紹介した柔らかい部品には85AのTPUを使用しています。ただし「TPU対応」という表示だけで、すべての硬さを同じように印刷できるとは限りません。購入前にプリンターが対応する硬さ、材料の通し方、使用する供給装置の対応条件を確認してください。

材料を変えるだけでは解決しないこともある

始めたばかりのころ、私は作りたい形を先に決め、壊れると材料や印刷条件でなんとかしようとしていました。いろいろな向きで印刷しても、きれいで、強度があり、サポートも少ない条件を見つけられないことがありました。

いま考えると、形そのものを見直す必要があったのだと思います。どの方向に力がかかるか、どう組み付けるかを考え、必要ならモデルを設計変更する。フィラメント選びと設計はセットです。

積層方向による違いは、PLAのXY・Z方向の実測比較と、PETGのXY・Z方向の比較でも紹介しています。いずれも試験条件つきの比較で、あらゆる造形物に同じ数値が当てはまるわけではありません。

材料を探すときのリンク

以下はAmazonの商品検索リンクです。動画と同じ商品・硬さとは限らないため、検索結果から材質、直径、重量、硬度、販売元を確認してください。特にTPU 85Aは、お使いのプリンターへの適合を先に確認しましょう。

まとめ:必要になってから、材料を増やせば大丈夫

最初はPLAで小物をひとつ作る。しならせる部品が必要になったらPETG、柔らかいバンドや接触部分を作りたくなったらTPU。私は、この順番なら目的を持って材料を増やしやすいと思います。

もっと数値で材料を比べたい方は、フィラメントの引張比較PETG 7銘柄の比較もご覧ください。実際の商品は3D Fit Designのショップで紹介しています。

ABOUT ME
つくはる
つくはる。地方在住のロードバイク乗り&3Dプリンタ愛好家。40歳手前からロードバイクに出会い、メタボ体型から脱却して以来ロードバイク歴15年以上。現在は「3Dフィット工房」の屋号で、3Dプリンタを使ったロードバイク関連オリジナル部品の設計・製造・販売を行っています。ブログでは実際に使った機材のレビューや自作パーツの開発ストーリー、副業・節約のリアルを等身大でお届けします。