3Dプリンターは積層方向で強度が約半分?PLAをXY・Z方向で実測比較

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3Dプリンターで作った部品は、同じPLA、同じプリンター、同じ印刷設定でも、造形方向を変えるだけで強度が大きく変わります。
今回はELEGOO PLAをPRUSA MK4Sで印刷し、プレートに寝かせたXY方向と、立てて印刷したZ方向を各5本ずつ引張試験しました。
結論は、平均引張強さがXY方向45.3MPa、Z方向21.2MPa。今回の条件では、Z方向はXY方向の約47%、およそ半分でした。
この記事では動画の結論に加え、全10本の生データ、試験条件、初心者が実用品の造形方向を決めるときの考え方まで整理します。
結論:PLAのZ方向はXY方向の約47%だった
今回の測定結果を先にまとめます。
| 造形方向 | 平均最大荷重 | 平均引張強さ | XY方向に対する比率 |
|---|---|---|---|
| XY方向(寝かせて印刷) | 452.6N | 45.3MPa | 100% |
| Z方向(立てて印刷) | 211.9N | 21.2MPa | 約47% |
同じフィラメントでも、積層面に沿って引っ張るXY方向に対し、積層方向へ引っ張るZ方向は明確に弱くなりました。
ただし、この数字をすべてのPLAにそのまま当てはめることはできません。フィラメント、温度、積層ピッチ、冷却、試験片形状などによって結果は変わります。大事なのは「PLAは必ず半分」と覚えることではなく、FDM方式の造形物には方向による強度差があると理解することです。

XY方向とZ方向の違い
今回の記事では、試験片をプレートに寝かせて印刷したものをXY方向、立てて印刷したものをZ方向と呼びます。
- XY方向:積み重ねた同じ層の中を引っ張る
- Z方向:層と層を引き離す向きに引っ張る
積層造形では材料を1層ずつ重ねるため、部品に力がかかる方向と積層方向の関係が強度に影響します。

試験条件
比較条件は、造形方向以外をそろえました。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 3Dプリンター | PRUSA MK4S |
| フィラメント | ELEGOO PLA(同一スプール) |
| ノズル温度 | 215℃ |
| ベッド温度 | 60℃ |
| 積層ピッチ | 0.15mm |
| 冷却 | FAN 100% |
| 試験部 | 3.5×3.0mm、0.5mm面取り |
| 有効断面積 | 10.0mm² |
| 引張速度 | 5mm/min |
| 試験数 | XY方向5本、Z方向5本 |

試験片と測定環境は自作です。今回の結果は同一条件で造形方向の差を比べるための値であり、JISやISOなどの規格試験による材料物性値そのものではありません。
全10本の測定結果
XY方向:平均45.3MPa
| 試験番号 | 最大荷重 | 引張強さ |
|---|---|---|
| 1 | 482.2N | 48.2MPa |
| 2 | 469.8N | 47.0MPa |
| 3 | 439.5N | 44.0MPa |
| 4 | 457.5N | 45.8MPa |
| 5 | 414.1N | 41.4MPa |
| 平均 | 452.6N | 45.3MPa |
Z方向:平均21.2MPa
| 試験番号 | 最大荷重 | 引張強さ |
|---|---|---|
| 1 | 225.0N | 22.5MPa |
| 2 | 206.5N | 20.7MPa |
| 3 | 208.2N | 20.8MPa |
| 4 | 217.9N | 21.8MPa |
| 5 | 201.9N | 20.2MPa |
| 平均 | 211.9N | 21.2MPa |
有効断面積が10.0mm²なので、引張強さは最大荷重を10.0mm²で割って算出しています。Z方向とXY方向の平均値を比べると、21.2÷45.3で約47%です。
実用品の造形方向はどう決める?
初心者のうちは、見た目やサポート材の少なさだけで置き方を決めがちです。しかし、力がかかる部品では次の順で考えると失敗を減らせます。
- 部品が実際に使われるとき、どの方向に引っ張られるかを考える
- その荷重が積層方向に層を引き離す形になっていないか確認する
- 向きを変えられない場合は、肉厚・リブ・R形状などで補う
- 重要部品は実際の使用条件に近い方法で試す
今回の結果だけを見ると、主な引張荷重をXY方向で受ける置き方が有利です。ただし、部品には引張だけでなく曲げ、ねじり、衝撃もかかります。サポート材、表面品質、寸法精度とのバランスも必要です。

今回使ったPLAと3Dプリンター
今回の試験にはELEGOOの標準PLAとPRUSA MK4Sを使用しました。
※Amazonの価格・在庫・販売元は変動します。PRUSA MK4Sのリンク先は記事作成時点でAmazon USからの輸入品として掲載されているキットです。購入前に商品名、出品者、納期、保証条件をご確認ください。
ELEGOO PLAは選択した色や容量によって商品ページ内の表示が変わる場合があります。動画と同じ標準PLAであることを確認してから選んでください。
フィラメントの強度比較をもっと見る
材料の種類やPETG銘柄による差は、次の記事で詳しく比較しています。
次は、普段使っているPETGでもXY方向とZ方向を測る予定です。材料を変えたとき、積層方向による強度差がどう変わるのかを同じ考え方で確認していきます。
まとめ
- ELEGOO PLAをXY方向・Z方向で各5本測定
- XY方向の平均引張強さは45.3MPa
- Z方向の平均引張強さは21.2MPa
- 今回の条件ではZ方向はXY方向の約47%、およそ半分
- 実用品では、力がかかる方向と積層方向を確認して造形方向を決める
- 数字は自作試験による比較値であり、規格試験の材料物性値ではない
同じ材料でも、置き方は強度を左右します。特に荷重がかかる実用品を作るときは、スライサーで向きを決める前に「この部品はどの方向へ引っ張られるか」を一度考えてみてください。
