【3Dプリント副業】QIDI Plus 4 導入レビュー|Prusa MK4Sに買い増した選定基準と初期セットアップ
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3Dプリンタを複数台運用して個人事業をしている筆者の自宅プリンタ室には、Prusa MK4S が3台、Klipper化した Prusa MK3S が2台、同じく Klipper化した Ender S1 Pro が1台 ── 計6台がいる。いずれも安定性・出力品質で長く主力を張ってきた機体たちだ。基本はオープンタイプで、MK4Sだけ自作のDIYエンクロージャーで囲って運用している。
しかし数年前、ロードバイク用パーツの注文が増えるにつれ「反るPC(ポリカーボネート)」「反り・割れるABS」という壁に当たり続けた。突き詰めると原因はどれも一つ ── 「庫内(チャンバー)を温める仕組みがない」ことだった。
PC・ASA・PA(ナイロン)といった、強度が命の機能部品に使いたい高温・高強度材料(エンジニアリングプラスチック)は、庫内を温めて反りと層割れを抑えないと、出荷できる品質では刷れない。ここがオープンフレーム機の越えられない壁だった。MK4SはDIYエンクロージャーで囲ってしのいできたが、本格的な加熱チャンバーには及ばない。だから「次の1台」は、最初から加熱チャンバーを備えた機種が欲しかった ── そして実を言うと、加熱チャンバー機への挑戦はこれが初めてではない。数年前、QIDIで最初に買った i-FAST で一度つまずいている(後述)。
そこで 追加導入したのが QIDI Plus 4。加熱チャンバー65℃を備え、PC・ASA・PA を「業務で出荷できる強度」で安定造形できる。しかもそれが 実売11万円・Klipper標準搭載 ── つまり 「機能部品が作れる加熱チャンバー機」が、副業ラインに収まる価格で手に入る一台だ。
導入から 1年以上が経過した今でも、チャンバー加熱が要る高強度パーツは実質この一台が専属。振り返れば 「コスパは最強」 だった、というのが率直な結論だ。
本記事では「なぜこの一台を選んだのか」「セットアップで感じたこと」「1年以上使った実感」をまとめる。
結論ファースト:加熱チャンバーで「機能部品」が刷れて、しかも11万円
| 観点 | QIDI Plus 4 評価 |
|---|---|
| 加熱チャンバー | 65℃(PC・ASA・PAなど高温・高強度材料で"機能部品"を安定造形) |
| 価格 | 11万円(この価格で加熱チャンバー65℃は破格) |
| ビルドサイズ | 305×305×280mm(A3対応・ロードバイクパーツに余裕) |
| Klipper | 標準搭載(Input Shaper・カスタマイズが容易) |
| 業務適性 | 有線LAN対応(Wi-Fi制限の現場でも使える) |
| 拡張性 | MMU対応予定(1台で複数フィラメント運用可) |
「加熱チャンバーで機能部品が作れる」と書いたが、では 実際どこまで強度が出るのか。PCの引張試験で チャンバー温度と冷却条件だけで強度が24%変わることまで突き止めた数値は 第2弾(実機検証編) に。本記事は 「なぜこの一台を選んだのか」「セットアップで何を感じたか」 に絞ってお届けする。
Prusa MK4S では足りなくなった2つの場面
Prusa MK4S は素晴らしい機種だ。今でも主力で稼働している。ただ、副業の出荷量が増えるにつれ、以下の2つの場面で 「もう1ランク上のマシン」が欲しくなった。
① PC(ポリカーボネート)が反る
ロードバイク用のサドルマウントを 強度重視でPCで刷ると、ベッドから剥がれる・ズレる現象が起きた。MK4S にはエンクロージャー(囲い)がないので、室温が下がる冬は特に厳しい。
② チャンバー温度の安定性
PCやPA12(カーボン入りナイロン)など、副業の次のステップで使いたい高温・高強度材料は、チャンバー50〜65℃の安定環境が必須。MK4S はここを安定させる仕組みがない。
これらをまとめて解決できる「次の一台」を探していた。
実は、QIDIの加熱チャンバーには一度"挫折"している ── i-FAST の教訓
加熱チャンバー機との付き合いは、今回が初めてではない。QIDIで最初に買ったのが i-FAST ── 加熱チャンバーを備えた大型のデュアルノズル機だった。
手応えは確かにあった。PA12-CF(カーボン入りナイロン)のような、開放型では反って話にならない高温・高強度材料が、チャンバーのおかげで驚くほどきれいに出せた。「加熱チャンバーの威力」を体で覚えたのはこの時だ。
ただ、使いこなせなかった。デュアルノズルという特殊な構成は扱いが難しく、当時の QIDIの古い機種は情報も少なく、専用スライサーも使いづらい。結局、性能を引き出しきれないまま出番が減り、いまはもう使っていない(故障した部分もそのままだ)。正直、機材としては"失敗"だった。
でも振り返ると、つまずいた原因は 「加熱チャンバー」ではなく「使いこなせる環境」がなかったこと。チャンバーそのものの価値は、むしろ確信に変わった。だから次に選ぶ条件は明確だった ── 加熱チャンバーの魅力はそのまま、構成は素直で、情報も多く、扱いやすい機種。これがそのまま次の機種選びの基準になった。
QIDI Plus 4 を選んだ3つの基準
機種選定の基準は明確に3つ。優先順位も、この順だった。
基準①: 加熱チャンバー65℃ ── 高強度材料で「機能部品」を刷れること
最優先はこれ。PC・ASA・PA(ナイロン)といった 高温・高強度材料を、反らせず層割れさせず、出荷できる強度で刷れること。チャンバー65℃はその最低ラインで、ここを満たさない機種は そもそも候補から外れた。Plus 4 を選んだ理由の半分以上は、この一点にある。加えて、i-FASTで痛感した「扱いやすさ・情報の多さ」も外せない条件だった。その点 Plus 4 は Klipper標準=情報が豊富で素直な1ヘッド構成で、安心して選べた。
基準②: コストパフォーマンス(11万円帯)
副業の利益は限られている。初期投資は1台あたり15万円以下を死守ライン、できれば10万円台前半で押さえたかった。「加熱チャンバー機」でこの価格は、検討当時ほぼ QIDI Plus 4 一択だった。
基準③: ビルドボリュームと拡張性
MK4S(250×210×220)から 305×305×280 にステップアップ。ロードバイクの シートポスト全長や 長尺フェンダーを一発で刷れるサイズが欲しかった。さらに将来の マルチカラー出力や 可溶性サポート材に向けた MMU 対応ロードマップもあり、長く使える設計だった。
競合機種との比較表
検討した3機種を横並びで比較すると以下の通り。
| 機種 | 価格 | 加熱チャンバー | ビルドサイズ | 採用判定 |
|---|---|---|---|---|
| Bambu Lab X1E | 約46万 | 60℃ | 256×256×256 | ❌ 価格オーバー |
| Prusa Core One | 約18万 | 推定50℃ | 250×220×270 | ❌ 発売時期が遅い |
| QIDI Plus 4 | 約11万 | 65℃ | 305×305×280 | ✅ 採用 |
Bambu Lab X1E は素晴らしい機種だが、副業1台目の追加投資としては重すぎる。Prusa Core One も気になっていたが、2024年の導入検討時点では未発売で、価格差も大きいことから今回は見送り。
QIDI Plus 4 は 価格・チャンバー温度・サイズの3点でバランスが最も良かった。
📝 後継機・弟分の選択肢:現在は後継機 QIDI MAX 4(フィラメント詰まり改善・アクティブ冷却・ノズル側オートレベリング搭載)も発売されています。新規購入ならまずMAX 4を見るのがおすすめ。
また、もっと予算を抑えたい・2台目を増やしたいなら、7万円台の弟分 QIDI Q2 レビュー も選択肢です。Plus 4 は型落ち割引で買える今、入門〜中級機として依然有力です。
初期セットアップで感じた「11万円機の真価」

開封からファーストプリント完了まで 2時間。Prusa MK4S のキット組み立て(半日)と比べれば、完成品ベースで届くQIDI Plus 4 はセットアップ工数が激減している。
好印象だったポイント
- タッチパネル操作が直感的:Prusa の小さい液晶+ノブ方式に対し、スマホ感覚で扱える
- PEIプレート標準装備:別売りで買い足す必要なし
- 庫内LED:暗い作業部屋でも見やすい
- Klipper管理画面:ブラウザでフルコントロール可能、Input Shaper のキャリブレーションも一発
- 同梱フィラメント:すぐ試せる安心感
微妙だったポイント
- 取扱説明書が日本語化途中:英語で十分だが、初心者には少しハードル
- デフォルト加速度が高すぎる(10,000 mm/s²):縦縞(VFA)が出やすい → 4,000 mm/s² に下げると解消(第2弾で詳述)
- タッチパネルの反応がもっさり:操作のたびにワンテンポ待たされる(とはいえ普段はほぼ遠隔操作なので、実害は小さい)
1年以上使ってわかった、QIDI Plus 4 の真価

導入から1年以上が経過した。Prusa MK4S と並んで、自宅プリンタ室の主力機の1台として現在も日常的に稼働している。
長期運用してわかったことを率直に書く。
強度が命の「機能部品」は、結局この一台でしか作れない
主力フィラメント(QIDI PETG-タフ)の印刷では MK4S とほぼ同等の品質。差が出るのはここからだ。PC(ポリカーボネート)・ASA・PA系など、チャンバー加熱が必須な高温・高強度材料を刷る場面では、QIDI Plus 4 は置き換えのきかない存在になる。
ロードバイク用のサドル直付けマウントやライトホルダーなど、強度が命の機能部品は実質的に Plus 4 専用機。期待していた PCの反りも、加熱チャンバー65℃にすることで 大幅に改善した。チャンバー加熱という一点が、そのまま「作れる商品の幅」になっている。
設定さえ決まれば、安心して長時間回せる
副業の現場では「安心して長時間回せる」ことが大きな価値だ。Plus 4 は 設定さえ詰めてしまえば、寝ている間の8時間印刷でも大きなトラブルは起きない。一度フィラメントの詰まりが出たことはあったが、冷却FANダクトを自作・改造してから改善した。"1個も失敗しない"とまでは言わないが、設定が決まればそれに近い安定感で回せている。
後継機 MAX 4 が出た今でも、コスパは最強
後継機 QIDI MAX 4 が発売されたが、「11万円帯で加熱チャンバー65℃・Klipper搭載・305mm³ビルドサイズ」 を実現している機種は、依然として Plus 4 だけ。
型落ち割引で買える今は特に、コスパは最強と言える。一度 i-FAST で失敗してもQIDIに戻ったのは、結局 「安さ × 加熱チャンバー」の魅力が本物だから。Plus 4 も弟分の Q2 も、この価格で加熱チャンバー機が持てる時点でコスパは最強だ。
ロードバイク用のサドル直付けマウントなど、強度が命のパーツは引張試験まで実施した。詳細データは 第2弾(実機検証編) に。
購入経路|Amazon vs QIDI公式サイト
QIDI Plus 4 は2つの購入経路がある。
| 経路 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| Amazon | 配送が速い・タイムセール対象になることあり | クーポン適用範囲がやや狭い |
| QIDI公式 | クーポン併用可・乾燥機能付きAMS「QIDI Box」とのセット割 | 配送日数がやや長い(中国発) |
筆者は 公式サイト推奨。PC/ASA を本気で使うなら フィラメント乾燥が必須で、乾燥機能付きAMS「QIDI Box」とセットで買うと割引になる。
🛒 QIDI Plus 4 公式サイト
👉 https://jp.qidi3d.com/products/plus4-3d-printer?sca_ref=9488183.WI1hyOU0pP0uXe&sca_source=datsusara
🛒 Amazon版(配送優先派)
👉 https://amzn.to/4jIlBsC
まとめ|こういう人におすすめ
| 評価項目 | スコア | 備考 |
|---|---|---|
| 価格 | ★★★★★ | 11万円帯で加熱チャンバー+Klipperは破格 |
| 機能性 | ★★★★☆ | 業務に必要な機能が一通り揃う |
| 操作性 | ★★★★★ | タッチパネル+Klipperで快適 |
| 拡張性 | ★★★★☆ | MMU対応など今後に期待 |
| サポート | ★★★☆☆ | 日本語対応が発展途上 |
推奨ユーザー像
- ✅ 2台目以降の導入機種を探している副業3Dプリンタ運用者
- ✅ PC・ASA・PETG-タフなど高温材料を安定運用したい 中級者以上
- ✅ Prusa MK4S や Ender系を既に使いこなしていて、「次の一台」が欲しい人
- ✅ 11〜15万円の予算で加熱チャンバー機を1台投入したい人
- ✅ Klipper・Input Shaper など 設定を詰めて使うのを楽しめる人
向かないユーザー
- ❌ 3Dプリンタが初めての完全初心者(初心者にはオールラウンドな入門機がおすすめ)
- ❌ 操作の 「日本語マニュアル完備」が必須な人
- ❌ Bambu Lab レベルのオールラウンド性能を10万円台で求める人
- ❌ 箱から出してすぐ完璧を期待する人(セットアップ・チューニングを楽しめる人向き)
次に読むべき記事
「加熱チャンバーで機能部品が刷れる」と書いたが、では 実際どこまで強度が出るのか? 第2弾では PC のテストピースを 引張試験にかけ、チャンバー温度と冷却条件だけで強度が24%変わることを数値で突き止めました。さらに縦縞(VFA)対策・消費電力・軸冷却まで、導入編から 一段踏み込んで実測しています。
👉 QIDI Plus 4 実機レビュー|PC強度プリントの最適設定を引張試験で導いた話
予算を抑えたい方は弟分の 👉 QIDI Q2 レビュー|7万円台で加熱チャンバー、コスパ最強の一台 もどうぞ。
