PETG・TPUのフィラメント保管|乾物ストッカーに入れたまま印刷する運用
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PETGやTPUを1巻き開けたあと、そのスプールをどこに置いていますか。
この2つは水分を吸いやすい材料です。吸ってしまうと糸引きの原因になったりするので、湿度を低い状態で保っておくことが大事になります。
私は3Dプリンタで設計した部品を製造・販売していて、プリンターを複数台使っています。すべてにAMSが付いているわけではないので、外部スプールから給材する機会が多いです。
いろいろ試した結果、いま落ち着いているのが、イノマタ化学の乾物ストッカー6.0Lに乾燥剤と一緒に入れて、印刷するときも箱から出さずにそのまま使うという方法です。定番のやり方ですが、複数台を使う私にはこれが一番ラクでした。

スプールを箱に入れたまま、チューブでプリンターへ送る(本人撮影)
この記事でわかること
- 乾物ストッカーをフィラメントの保管+給材に使う運用の中身
- そろえるもの(容器・乾燥剤・ローラー・ベアリング・継手・チューブ)
- 使い続けて困ったことと、ローラーを分割・ねじ式に改良した理由
- 乾燥剤の管理と、「保管」と「乾燥」を分けて考える話
- この方法が向く人・向かない人
先にお伝えしておくと、これは全員に必須の方法ではありません。AMSの中だけで保管から給材まで完結している人なら、箱を追加する必要はないと思います。
動画:箱から直接給材する流れを6分で
実際の容器の中身、ローラーの組み方、プリンターへの接続までは動画にまとめています。
使っているもの
今回の運用で使っているものです。容器と乾燥剤以外に、3Dプリンタで印刷する部品と、ベアリング・継手・PTFEチューブが必要になります。
| 用途 | 使っているもの |
|---|---|
| 保管容器 | イノマタ化学 乾物ストッカー 6.0L |
| 乾燥剤 | SANSYO シリカゲル 青色・大粒 500g |
| ローラー用 | ミニチュアベアリング(DDL-608ZZ) |
| 乾燥用 | テスコム 低温コンベクションオーブン TSF61A-H ※後述・私の使用例です |
| 出口・経路 | 継手とPTFEチューブ(プリンター側の経路に合わせて用意) |
| 箱の中の部品 | 3Dプリンタで印刷するローラーと乾燥剤ケース |
購入リンクはこの記事の後半にまとめています。ベアリングやチューブは、使う容器とスプールに合わせて確認してください。
なぜ乾物ストッカーなのか
3Dプリンタ用の保管ボックスはいろいろありますが、私がこの容器を使い続けている理由は3つです。

イノマタ化学の乾物ストッカー6.0L(本人撮影)
- 上からスプールがすっぽり入るサイズで、出し入れがしやすい
- フタの密閉がしっかりしている
- 底側のフタから、中身を出さずに乾燥剤だけ入れ替えられる
3つ目がとくによく考えられていると思います。スプールを入れたまま、下から乾燥剤の交換ができます。
比較的安くそろえられて、本数が増えても同じ箱を足していけるのも、私には使いやすいところです。
容器だけ買っても完成しない
ひとつ注意点があります。容器を買っただけでは、箱からの給材まで完成しません。
容器にフィラメントの出口を加工する必要があり、追加部品も要ります。 箱の中でスプールを支えて回すローラー、ローラー用のベアリング、出口になる継手とチューブ。これらを組み合わせて、はじめて「箱の中の外部スプール」になります。

出口を加工し、ローラーとチューブをセットした状態(本人撮影)
私はこの構成を、MakerWorldで公開されているモデルをもとに作っています(出典は後述します)。
使い方の流れ
- 必要なら、素材に合った方法で先に乾燥させる
- 乾燥剤を入れた箱にスプールをセットする
- フィラメントを出口からチューブへ通し、フタを閉める
- チューブをプリンター側につなぐ
これで、スプールを箱から出さずに印刷できます。使い終わってもそのまま保管、次に使うときもそのまま接続。印刷のたびに移し替える手間が減ります。

箱→PTFEチューブ→PRUSA CORE Oneへ。普段の外部給材ルート(本人撮影)
箱ごと別のプリンターへ持っていけるので、複数台を使い分けている人とは相性がいいと思います。
購入前には、使いたいスプールの直径・幅・中心穴が、ローラーと容器に合うかを実物で確認してください。スプールの形はメーカーによって違います。
使い続けて、ローラーを改良した
箱の中のローラーは、kaz3dさんがMakerWorldで公開されているモデルをもとにしています。身近な乾物ストッカーを保管箱として使えるようにした、ありがたいアイデアです。公開してくださったことに感謝しています。
ただ、自分で使い続けるうちに、困ったことが2つ出てきました。
- 落としたときに壊れやすい。ローラー部が一体構造で、積層方向の関係で決まったところが折れてしまう。何個か作り直しました
- 取り扱っているときにスプールから外れることがある
そこで、いまのローラーはこう見直しました。

分割して印刷し、折れても部分ごとに直せる構成に(本人撮影)
- 分割設計にして、Z方向の積層を避ける
- PETGで印刷する
- 反対側にねじ込み式のキャップ(ツバ)を付けて、抜けにくくする

スプールに通したあと、反対側からねじ込んで保持する(本人撮影)
仮に折れても、その部品だけ作り直せばよくなりました。スプールを交換するときにローラーが落ちにくいのも、日常の使い勝手としては大きいです。
強度を数値で比べた結果ではありませんし、絶対に壊れない・絶対に外れないという話でもありません。使っていて困ったところを、自分の使い方に合わせて手直ししたという例として読んでください。
公開したモデルと、参考にしたモデル
今回の改良ローラーはMakerWorldで公開しています。
- 今回公開した改良ローラー:Split Spool Roller with Threaded Cap – Inomata 6L(ライセンス:CC BY-SA 4.0)
- 元モデル:Filament Dry Box V2 – Inomata K Dry Food Stocker(kaz3dさん)のリミックスです
- 乾燥剤ケース:DIYフィラメント乾燥庫V2(イノマタ科学乾物ストッカー使用)(tadsnetさん/ライセンス:CC BY-NC-SA 4.0)
- チューブキャップ:PTFE Tube Cap with Filament Label(DET-Manさん)
それぞれ作者もライセンスも別です。私の改良ローラーがCC BY-SA 4.0だからといって、他のモデルが同じ条件というわけではありません。利用条件は必ず各リンク先でご確認ください。便利なモデルを公開してくださっている作者の皆さまに感謝します。
乾燥剤の管理も込みで「保管」
箱に入れたら終わり、ではありません。

3Dプリンタで作ったケースに大粒のシリカゲルを入れている(本人撮影)
私は3Dプリンタで作ったケースに大粒のシリカゲルを詰めて、箱の底側に入れています。吸湿が進んできたら、下のフタから取り出して入れ替えます。
交換や再生のタイミングは、使っている製品の表示に合わせてください。 入れっぱなしで放置すると、箱に入れている意味が薄くなります。
「保管」と「乾燥」は分けて考える
ここまでは湿気を防ぐための保管の話です。すでに湿気を吸ってしまったフィラメントは、先に乾燥させます。 保管容器に入れるだけでは戻りません。
私はこれまでフィラメント用のドライヤーをいくつか買って使ってきました。乾燥が必要な状態なら、いまも先に乾燥機で処理します。乾燥機が要らない、という話ではありません。
いま私がよく使っているのは低温コンベクションオーブンです。フィラメントは1巻きしか入りませんが、低温で長い時間かけて乾かしたいときに重宝しています。
ただしこれはあくまで私自身の使用例です。オーブンはフィラメント乾燥用の製品として売られているものではありません。機器の用途や温度設定は、必ず各メーカーの案内・取扱説明書を確認してください。
プリンターの台数が増えると、使うたびにスプールを出し入れするのが面倒になり、乾燥機を何台も動かすのも気になってきました。そこでいまは、必要な乾燥と、その後の保管を分けて考えています。
この方法が向く人・向かない人
向いていると思う人
- AMSを使わず、外部スプールから給材している人
- 複数台のプリンターを使っていて、箱ごと移動したい人
- 柔らかいTPUを外部から送っている人。保管と給材をひとつにできるのが便利です
柔らかいTPUについては、TPUの85Aと95Aを実物で比べた記事にどんな部品で使っているかをまとめています。
向いていないと思う人
- すでにAMSの中だけで保管から給材まで完結している人。この箱を追加する必要はないと思います
- 置き場所に余裕がない人。スプールごとに箱を用意するので、そのぶん場所を取ります
- スプールの形が合わない場合もあります
袋や大型の保管ボックスも選択肢です。どれが正解という話ではなく、自分の運用に合うかどうかだと思います。
使うときの注意点
- 容器への出口加工と追加部品が必要です。容器だけでは完成しません
- チューブが長すぎたり、きつく曲がっていると送りにくくなります。実際に動かして確認してください
- スプールの直径・幅・中心穴は、実物で合うか確認してください
- 乾燥剤は入れっぱなしにせず、製品の表示に合わせて交換・再生してください
- オーブンでの乾燥は私の使用例です。用途・温度はメーカーの案内を必ず確認してください
- 箱の中が実際にどれくらいの湿度に保てるかは、今回は測っていません。別途記録して検証する予定です
今回使ったもの
同じブランドでも仕様・内容量・販売元が入れ替わることがあります。購入前に、サイズ、容量、販売元をご確認ください。
- Amazonでイノマタ化学 乾物ストッカー 6.0を見る
- AmazonでSANSYO シリカゲル 青色・大粒 500gを見る
- AmazonでLeTradeJP ミニチュアベアリング DDL-608ZZを見る
- Amazonでテスコム 低温コンベクションオーブン TSF61A-Hを見る
※オーブンはフィラメント乾燥用の製品ではありません。私の使用例としての掲載です。用途・温度は必ずメーカーの案内をご確認ください。
よくある質問
Q. この箱に入れておけば、フィラメントは乾燥しますか?
しません。これは湿気を防ぐための保管です。すでに吸湿してしまったものは、先に乾燥させてから入れてください。
Q. 乾燥機はもう要らなくなりますか?
いいえ。私も、乾燥が必要な状態なら先に乾燥機を使います。保管と乾燥は役割が違います。
Q. 容器を買えばすぐ使えますか?
使えません。フィラメントの出口の加工と、ローラー・ベアリング・継手・チューブが必要です。
Q. AMSを使っていても意味がありますか?
AMSの中だけで保管から給材まで完結しているなら、無理に追加する必要はないと思います。私は全機にAMSが付いているわけではないので、外部給材の経路として使っています。
Q. どんなフィラメントに使っていますか?
主にPETGと、柔らかいTPUです。どちらも水分を吸いやすく、外部スプールから送ることが多い材料です。
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まとめ
- PETG・TPUは水分を吸いやすいので、乾燥剤と一緒に個別保管している
- 使っているのはイノマタ化学の乾物ストッカー6.0L。底から乾燥剤だけ交換できるのが便利
- 容器だけでは完成しない。出口加工とローラー・ベアリング・継手・チューブが必要
- 箱から出さずに給材できるので、複数台を使い分けるときにラク
- ローラーは落下で折れた経験から、分割+ねじ式キャップに改良した
- 保管と乾燥は別。吸湿したものは先に乾燥させる
自分の使い方に合わせて少しずつ手直ししていくのが、3Dプリンタの面白いところだと思います。皆さんのフィラメント保管の工夫も、よければ教えてください。
実際に使って分かったことはつくはるガレージでも公開しています。

