ローディーの永遠の悩みであるペダリングについて考えてみたいと思います。
私自身、ペダリングは正直全然下手糞です。なので初心者が気を付けること、少しでも上達するヒントになればと思います。中級者以上の方は、既に知っていることだと思いますので、そうじゃない!ちょっと違う!なんて思いながら読んで頂ければと。
ペダリングの上手い下手を測るためには、パイオニアのペダリングモニター(この記事で紹介)で測定が可能で、ペダリング効率で表します。プロは60%以上、一般の人で30~40%程度らしいです。
ペダリング効率を高めるために、まずペダリングに潜む罠を理解することが大切です。そんな事を中心に紹介していきます。
効率の良いペダリングとは?
ペダルを漕いで推進力に変えるには、ペダルを回す方向に力を掛ける必要があります。つまり、ペダルが真上(12時方向)や真下(6時方向)でいくら下向きに踏み込んでも推進力には変わりません。3時方向で真下に力を掛けると最も効率が高くなります。
一般的イメージは、下の図のように、12-2時方向で徐々に力を入れ始め、2-4時方向で力を掛けて、後はペダルの円運動を妨げない様にように足を動かすと言われています。
バスケのドリブルのように、ボールが頂点に来た時に、力を加えるイメージです。ボールが頂点を過ぎて落下したタイミングで、下向きに力を入れる。ボールが上がってきたら、ボールの勢いを殺さない様に手は添えるだけと言ったイメージです。
ペダリングは難しい!ペダリングに潜む罠!
理想的なペダリングは分かっても、実際にはできない罠があるのです。頭で分かっていても、実際に頭でイメージした通りに体は動いてくれません。
なぜか?
一般的に頭から指令してから体が動くまでに0.1~0.2秒程度は掛かると言われています。
ケイデンスが90rpmとすると1回転当たりに掛かる時間は、0.67秒しかありません。
60÷90=0.67秒
つまり、3時方向になったら力を入れようとしても、実際に力が掛かるのはその0.1~0.2秒後となるので、5時~6時方向になったところで力が掛かることになります。
つまり、2時から4時方向で力を入れようと思ったら、0時方向の時にはペダルに力を入れる感覚になります。
頭で指示して体が動くまでの時間は人により異なりますので、どのタイミングで踏めば良いのか、実際には分かりません。当然ケイデンスによっても、違います。
実際ケイデンスが60~120rpmの場合に1回転に掛かる時間と、0.1秒で進む角度を計算すると、以下の表になります。当然ですが、60rpmと120rpmでは0.1秒で進む角度は倍違うので、力を入れるタイミングも当然変わります。
ケイデンス (rpm) |
1回転の時間 (秒) |
0.1秒で進む角度 |
60 | 1.00 | 36° |
70 | 0.86 | 42° |
80 | 0.75 | 48° |
90 | 0.67 | 54° |
100 | 0.60 | 60° |
110 | 0.55 | 66° |
120 | 0.50 | 72° |
つまり、ベストなタイミングを自分で確認するのはかなり難しいことが分かります。
ペダリング効率を改善するために意識すること!
高速でペダルを回転させている為、頭で思っているペダリングと実際に体が動くタイミングのズレをまず意識する必要があります。
その為、3時付近で力を入れる(ペダルに力を入れる、体重を掛ける)には、12時付近で力を入れるイメージです。長く力を掛けていると下死点付近まで力が掛かってしまうので、一瞬力を入れる感じです。
この時反対の足は下死点にあるので、ペダリングの邪魔にならないように太ももを上げるイメージとなります。
両足で違う動きを意識しながら、タイミングも合わせる必要があるのでテンポが合わないとギクシャクとしたペダリングになりますが、これを意識するかしないかで違ってくると思います。
私自身は、ペダルを踏むイメージより、太ももを上げるイメージをより意識するほうがペダリング効率も上がる様です。
ペダリング効率を確認するには?
意識だけで、随分ペダリングは上達するとは思いますが、どの状態が良いのか判断はできません。
判断するためには、やはりペダリングの良し悪しを計測してくれるペダリングモニターが必要になってきます。
ペダリングモニターは、ペダリングを30度毎にどの方向へ、どれくらい力が掛かっているのか測定してくれます。どれくらいの力が推進力になっているのかをペダリング効率として表示してくれます。
下の図は、実際のペダリングモニタの画面ですが、赤い矢印は推進力になっていますが、青い矢印は、回転方向とは逆に力が掛かっています。簡単に言うとペダリングを邪魔している力が掛かっています。
いくら力を入れても、ペダルを回す方向に力を掛けないと自転車は進みません。パワーも大事ですが、そのパワーを効率よく使っているかも大切な指標となります。
現在ペダリング効率を計測してくれるのは、パイオニアのペダリングモニターしかありません。
お勧めのサイコンは、こちら。
実際にペダリングモニターを使って上達したか?
私自身は初めてペダリングモニターで計測したときは、平均ペダリング効率40%台ギリギリでしたが、今では40%後半まで若干上がってきています。
特に効果があるのはある程度パワーを掛けながらペダリングする場合は、ペダリングのグラフを見ながら、力を入れるベストなタイミングが見つけ安いため、ペダリングの上達に繋がります。
特に効果があったのは、ダンシングでのペダリング効率です。自分のダンシングは真にペダルを踏み込むペダリングになっており、6時方向で最大の力が掛かっていました。(つまり、まったく前に進まないダンシング)
いろいろ試行錯誤の上に、結局は、踏むイメージよりも足を上げる方を意識することでペダリング効率が改善されました。また、MAXパワーも引き足を意識したほうが高くなったので、これは、ペダリングモニターを付けた最大の効果でした。
だだ、ペダリング効率を意識することで70%程度は出せるのですが、使う筋肉が違うのか長時間70%をキープするのは至難の業です。そのため、通常は40%台が多く、坂やパワーを掛けるときは50~60%前半といった感じです。
つまり、ペダリング効率が高ければ高いほどいいと言う訳ではないようです。
参考になる書籍
ペダリングは、ケイデンス90rpmにもなるとかなり高速な運動となるため、運動神経だけではうまく漕ぐことはできません。
意識的にどこで力をいれるのかやはりコツが必要となります。なかなかこれイメージが分かりにくいので、いろいろと本や雑誌で自分にとってしっくりくる解説って少ない気がします。
中々これは、言葉で説明しても難しいのがスポーツの難しいところです。
例えば自分が耳にしたことのある言葉だと、
・お尻でペダルを踏む!
・足ね付け根を意識する。
・骨で踏む!
・体重を乗せてペダリングする!
などなど。同じようなことを言っているかも知れませんが、言葉にして伝えるとどうしてもニュアンスが変わったりするものです。
自分の感性に近かったのは、骨でペダルを踏むというキーワードが意識し易かったですね。全般的にやさしく解説してある宮澤さんの本が参考になりました。
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更により具体的な練習方法や理論的に説明してあるのが、NHKのチャリダーでおなじみの竹谷賢二さんの『ロードバイクの作法』です。特に私の場合は、
『1回転でどれだけチェーンを引けるかが真のペダリング効率』
と言う説明が理解しやすいというか、なるほどなぁと思った点ですね。その他、練習方法も掛かれているのとっても参考になります。理論的に書いてあるので少し難しく感じるかもしれませんが、おすすめの本です。
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楕円リングでペダリング効率を高める方法
手っ取り早くペダリング効率を上げる方法として、楕円リングを導入するという手もあります。
楕円リングとは、ペダリングの2時から4時にかけてチェーンリング(前側のギヤ)の半径が大きくなり、6時では半径が小さくなる楕円上のチェーンリングです。
同じペダリングでも、2~4時時点は掛かるトルクが高くなり、反対に6時付近ではトルクが下がるので、結果ペダリング効率が上昇します。
まとめ
- 頭と体で0.1秒程度のズレがあることを理解する。
- ズレを意識したペダリングのタイミングをすること。
- ペダリングモニタがあれば上達の早道