ロードバイクのタイヤの空気圧は摩擦抵抗や乗り心地、またパンクの予防に重要な調整ポイントです。そのタイヤの空気圧ですが、暑い夏と寒い冬で空気圧は同じでいいのでしょうか?それとも気温に合わせて変えるべきなのでしょうか?
気温によって空気圧がそもそも変化するものか検証していきます。
ちなみに、オートバイのレースやカートのレースでは路面温度により結構シビアにタイヤ空気圧を調整するのが常識となっています。果たしてロードバイクではそこまでする必要があるのでしょうか?
気温によって空気圧は変わる温度と圧力の関係
オートバイや自動車レースなどで気温によって、タイヤの空気圧を調整するのには以下の理由があります。
走行前にタイヤの空気圧を調整した時の温度よりも、走行することでタイヤが路面と摩擦することでタイヤの温度が上がります。また、真夏などは路面の温度も高いのでよりタイヤの温度があがります。例えば走行前の温度が20℃でも走行中に40℃、真夏なら50℃以上にもなることもあるでしょう。
タイヤと言う一定の体積の中に閉じ込められた空気が熱せられると、空気は膨張します。しかし、タイヤの中なので体積は増えずに圧力があがってしまいます。
そのため、走る前に適正な圧力にしても、温度上昇で適正圧力より高くなってしまいます。そのため、タイヤの温度上昇を見越して、走る前は少し低めの圧力で調整すると言った具合です。
実際にロードバイクの圧力が理論的にどの程度変化するのか?
ロードバイクのタイヤの空気圧は7気圧前後のものが多いです。また、ロードバイクは室内保管の場合が多いと思います。
そこで室内(20℃)の環境で7気圧に設定した圧力が、真夏の日中(35℃)に走る場合とと真冬に走る場合(5℃)でタイヤの空気圧が理論的にどの程度の圧力になるか計算してみます。
計算は、ボイル・シャルルの法則を用いて計算することが可能です。
理想気体の場合 (圧力×体積)÷絶対温度=一定 から
走行前の温度:T1 20℃
走行前の圧力:P1 7気圧
走行中の温度:T2
走行中の圧力:P2
とすると
P2=T2/T1×P1の式で求めることができます。
仮に気温と同じまでタイヤの温度が上昇すると
P2=T2/T1×P1=(273+35)/(273+20)×7=7.36(5%UP)
つまり、7気圧だった空気圧が7.36気圧まで5%も高くなるのです。
真夏の路面温度が45℃だったとすると
P2=T2/T1×P1=(273+45)/(273+20)×7=7.60(9%UP)
なんと、7⇒7.6気圧まで上昇することになります!!
先程と同じ計算をすると
P2=T2/T1×P1=(273+5)/(273+20)×7=6.64(5%down)
気温5℃だとすると7気圧が6.64気圧まで5%低下します。
では実際に調整した方が良いのか?
感覚的には、そこまで神経質にならなくても問題ないと思います。タイヤの空気圧は結構調整幅があるので、その範囲内には収まると思います。
ただし、タイヤの調整幅の上下限近くに設定する場合は、気を使た方が良いでしょう。真夏で例えば、長い下りの場合ホイールの温度はブレーキを掛けることで上昇します。気温∔ブレーキの熱で温度が更に上がるのでタイヤの規定圧以上に空気圧が高くなる可能性は十分にあると考えます。
私の場合は、真夏は若干低め(いつもより0.1~0.2気圧)に設定しています。
真夏にロードバイクを車載した状態だと!?
先程の計算で20℃で7気圧に設定しておいたタイヤの空気圧が、真夏の車載に放置したとするとどうなるのでしょうか?
仮に車内の温度は60℃近く上がることもあります。その時のタイヤの空気圧は、
P2=T2/T1×P1=(273+60)/(273+20)×7=7.96(14%UP)
結構高くなりますね。車載する時は、タイヤの空気圧は少し抜いておいた方が、タイヤにはやさしいと思います。
まとめ
理論的には、10℃変化するだけでも3~4%は空気圧は変化することになります。乗り心地に敏感な方や、上下限近くで空気圧を設定している方は、温度も考慮にいれて空気圧を調整してみると良いと思います。