ロードバイクの買い替えを検討している中級者にとって、
Tarmac SL8 PRO(ターマック SL8 PRO)は間違いなく有力候補に入る人気モデルです。
しかし、本音ではこう思っていませんか?
- 高いけど、本当に価値があるの?
- ホビーライダーやゆるポタ中心でも性能を活かせる?
- 50代の自分でも乗りこなせる?
そこでこの記事では、
実際に SL8 PRO へ乗り換えた「50代中級サイクリスト」の体験インプレを、良い点も気になった点も含めて徹底レビューします。
結論から言うと──
ターマック SL8 PRO は、乗り心地・空力・扱いやすさの3つが唯一無二のレベルに仕上がった「50代サイクリストの理想形」のロードバイクです。
ロングライドが圧倒的に快適になり、向かい風・坂・下りのすべてで“負担の少なさ”を実感できました。
1. SL8 PRO を選んだ背景|競技志向から“楽しく長く乗る”へシフトした50代の選択
以前の私は“ガチ寄り”のサイクリストだった
40代の頃は、とにかく自転車に熱中していました。
- 月間 800〜1000km
- 平日朝は短時間・高強度の朝練
- 週末はロングライドで追い込み
- エンデューロやヒルクライムにも参戦
- ストラバの自己ベスト更新がモチベーション
いわゆる「ガチ寄り」のホビーサイクリストでした。
しかし、怪我や体調不良が続き、思うように走れなくなる時期が訪れます。
ゆるポタ中心になると「40kmで限界」に
競技から距離を置き、
「景色を楽しむゆるポタ中心のライド」へスタイルを変えたものの、
- 40kmほどで足裏が痛くなる
- ロングライドへの意欲が湧かない
- 月間走行距離が 360km 程度と物足りない
こんな状態になっていました。
このとき、ふと気づきます。
DOGMA F8 の剛性は、50代の身体にはもう合っていない。
バイク選びの軸が「速さ」から「乗り心地」へ
そこから、バイク選びの軸がハッキリ変わりました。
「乗り心地が良く、無理なく長く走れるロードバイク」
単に“速いバイク”ではなく、
「長く・楽しく・健康的に乗り続けられる相棒」を思い切って購入しようと思い、
その候補として浮上したのが Tarmac SL8 PRO でした。
2. 10年ぶりの新車。リムブレーキからディスクブレーキへの壁を越える決断
今回の SL8 PRO は、実に「10年ぶりの新車」でした。
当然、初めてのディスクブレーキモデルでもあります。
リムブレーキ世代の人なら分かってもらえると思いますが、
- 使い慣れたホイールが使えなくなる
- ホイールや工具を含めて規格を一新しないといけない
- なんとなくディスクは敷居が高い
正直、ディスクへの乗り換えは心理的ハードルが高いものでした。
慢性的な腱鞘炎が“ディスク移行”の決定打に
私の場合、そのハードルを超える決定打となったのが「腱鞘炎」です。
- 日中はPCでのデスクワーク
- 趣味兼副業で 3D-CAD 設計
- 3Dプリント造形・後処理での手作業
こうした生活を続けた結果、手首〜指にかけて慢性的な腱鞘炎を抱えるようになりました。
この状態でリムブレーキの下りは、かなりつらい。
- 長い下りでレバーを握り続ける
- 勢いのついた下りで強い制動が必要になる
- 指にダメージが蓄積して峠に行くのが億劫になる
「ディスクへの乗り換え」は、もはや贅沢ではなく「必要な選択」になっていました。
ディスクブレーキの圧倒的な安心感に感動
SL8 PRO のディスクブレーキに乗り換えて、最初の数回のライドで感じたのは、
- 少ない握力でしっかり止まる
- 下りで指が痛くならない
- 雨でも制動力が安定している
- 急勾配の峠でも余裕がある
という“圧倒的な安心感”でした。
もっと早くディスクにしておけば良かった!
そう素直に思いました。
50代で腱鞘炎持ちの私にとって、ディスクブレーキは本当に心強い味方です。
3. デザインの好み vs 性能の現実。SL8に決めた理由
正直に言うと、見た目だけでいえば今でも Pinarello のデザインが大好きです。
DOGMA の造形は本当に魅力的で、ショップで見ても「かっこいいな」と感じます。
ただ、いろいろなレビューや試乗を重ねていくと、
ターマック SL8 PRO については、
- 乗り心地が別格
- ロングライドの快適さが段違い
- 疲れにくさが明らかに違う
といった評価が圧倒的多数でした。
試乗した際も、「あ、これは身体が楽だな」とすぐに分かるレベル。
今の自分の身体に合うのは、間違いなく SL8 だな
と腹を括り、デザインの好みより「長く走れるかどうか」を優先して SL8 PRO を選ぶことにしました。
4. 色選びはレッドで大正解だった
今回が3台目のロードバイク。
1台目は白、2台目は黒と続いてきたので、
次は少し冒険したい。見ていて気分が上がる色にしたい。
と思っていました。
選択肢としては、
- ULTEGRA 完成車:ホワイト
- FORCE 完成車:シルバー
- FORCE 完成車:レッド
この中から、最終的にレッドを選択。
結果として、これが大正解でした。
- 形状の好みを上回る「色の魅力」
- 玄関に置いて目に入るたびに嬉しくなる
- 走りに行くモチベーションが上がる
見た目はモチベーションそのもの。
「レッドにして良かった」と今でも思っています。
5. フィッティングでの気づき(クランク長の罠)

購入前にはフィッティングサービスを利用し、
- フレームサイズ
- ステム長
- ハンドル幅
- クランク長
といったポジションを一通り確認しました。身長165cmのわたしの場合、フレームサイズは49が良さそうなことがわかりました。
DOGMA では 160mm クランクを使用していましたが、
SL8(サイズ49)では標準の 165mm クランクが装備されます。
フィッティングの段階では特に気にならず、
「これならいけそう」と感じていたのですが──
実際にロングライドをすると、
- ももを上げる動きが少し重く感じる
- ケイデンスがわずかに上げにくい
といった“5mmの差”による影響を、じわじわと感じるようになりました。
今後の改善ポイントとして、クランク長は再検討する予定です。
(ここはあくまで私の身体・柔軟性・脚力の問題なので、個人差が大きい部分だと思います)
6. Tarmac SL8 PRO の特徴(要点だけ知りたい人向け)
細かい話はあとにして、まずは SL8 PRO の特徴をざっくりまとめると、こんな感じです。
- 乗り心地が圧倒的に良い(50代の身体に優しい)
- 空力性能が優秀で向かい風に強い
- 軽快で扱いやすく、反応が気持ち良い
- 完成車付属の Roval Rapide CL III が本気で優秀
- SRAM Force AXS のワイドレンジが極めて使いやすい
- ディスクブレーキで下りの安心感が抜群
- ワイヤレス電動でハンドル周りがスッキリ美しい
「乗り心地が良いロードバイク」を探している人には、かなり強くおすすめできる1台です。
7. 実走レビュー|Tarmac SL8 インプレ
乗り心地:100kmオーバーが“普通に楽しい”
SL8 PRO に乗り換えて一番驚いたのは、
ロングライドでの「しんどさ」が明らかに減ったこと
です。
- 足裏の痛みが激減
- 全身の疲労感が少ない
- 巡航がラク
- 降りたあとも身体が軽い
40kmで「もう十分…」となっていたのが、
SL8 にしてからは 100km オーバーでも
「あれ、まだいけるな」
と感じるようになりました。
まさに「乗り心地性能の差」を全身で実感しています。
加速:軽く踏むだけでスッと伸びる
SL8 は、剛性が高いわりに「踏みやすい」バイクです。
- 必要以上に脚を選ばない
- 重たすぎない反応性
- 軽く踏んだだけでスッと前に出る
テンポよく回していると、「あ、このバイク、気持ちいいな」と素直に感じるタイプ。
50代の脚でも無理なく付き合える、絶妙なバランスだと思います。
空力:向かい風区間で明確に「伸び」を感じる
向かい風や横風が強い日に走ると、SL8 の空力の良さをハッキリ感じます。
- いつもより失速しない
- 向かい風なのに速度が落ちにくい
- 心なしか“風の壁”が弱く感じる
これはフレームだけでなく、後述する Roval Rapide CL III のエアロ性能も効いていると感じる部分です。
下り:ディスク × フレームの安定感が最高
下りの安定感は本当に素晴らしく、
- ハンドルが暴れない
- ブレーキコントロールがしやすい
- 指のダメージが少ない
おかげで「峠の下りが怖くない」。
これは 50代&腱鞘炎持ちには本当にありがたいポイントです。
SL8 PRO は、“下りの不安を消してくれるバイク”という表現がしっくりきます。
8. DOGMA F8 との比較(体験ベースのみ)
SL7との乗り比べはしていないので、ここでは過去の愛車 DOGMA F8 との比較だけに絞って書きます。
- 剛性
- DOGMA:パワーを要求する「ガチ仕様」
- SL8:しなやかさがあり、50代の脚でも扱いやすい
- 足裏の痛み
- DOGMA:2時間程度で足裏が痛くなりがち
- SL8:痛みがほとんど出なくなった
- ロングライド適性
- DOGMA:レースには最高。ただし長時間になると疲労が蓄積しやすい
- SL8:100kmオーバーでも「まだ走れる」と感じる
- 疲れ方
- DOGMA:翌日に残る
- SL8:翌日のダメージが明らかに少ない
まとめると、
SL8 は「50代の脚」と非常に相性が良いバイク
だと強く感じています。
9. 50代視点で見た SL8 PRO の価値
50代という年齢で改めて感じた SL8 PRO の価値は、以下の通りです。
- 長時間乗っても疲れにくい
- ロングライドのハードルが下がる
- 健康維持・体力づくりにちょうどいい負荷感
- ディスクブレーキで下りの不安が減る
- 腱鞘炎もちでも安心して峠に行ける
- 「また乗りに行こう」という気持ちになりやすい
単に「速いバイク」ではなく、
“長く続けられる趣味としてのロードバイク”という意味で、SL8 PRO は非常に価値の高い1台です。
50代こそ、SL8 PRO の良さを一番実感できる世代かもしれません。
10. SRAM Force AXS の良さ|ワイドレンジが本気で使いやすい
SL8 PRO に決めた理由のひとつが、
SRAM Force AXS の「ワイドレンジ×電動×ワイヤレス」という組み合わせです。
ここでは、シマノ ULTEGRA と比較しながら、ギヤ比の違いを簡単に整理してみます。

ギヤ構成比較(ULTEGRA vs FORCE)
- シマノ ULTEGRA
- フロント:52 / 36T
- リア:11-30T
- SRAM FORCE AXS
- フロント:48 / 35T
- リア:10-33T
ギヤ比で比較すると、
- トップ側
- ULTEGRA:52 ÷ 11 ≒ 4.73
- FORCE:48 ÷ 10 = 4.80
→ FORCE のほうが、わずかに“重い”ギヤを持っている
- ロー側
- ULTEGRA:36 ÷ 30 = 1.20
- FORCE:35 ÷ 33 ≒ 1.06
→ FORCE のほうが、明確に“軽い”ギヤを持っている
ギヤレンジ(重いギヤから軽いギヤまでの幅)でざっくり比較すると、
- ULTEGRA:およそ 3.9倍
- FORCE:およそ 4.5倍
つまり FORCE の方が、約15%ほどワイドレンジというイメージになります。
10T の効率は理屈上は悪い。でもホビー用途なら気にならない
物理的には、10T の効率は 11T より悪いと言われています。
チェーンの曲げ角がきつくなるぶん、ロスが増えるのは確かです。
ただ、実際にホビー用途で使ってみると、
「ワイドレンジで得られるメリットのほうが圧倒的に大きい」
と感じました。
- 軽いローで「もう一段助けてくれる」
- トップ側はしっかり踏み切れる
- 現実的な坂・向かい風・疲労込みの状況で、とても走りやすい
効率の数パーセントより、「脚を残して楽しく走れるかどうか」のほうが大事です。
ロー側の軽さは本当にありがたい(貧脚にも優しい)
35 ÷ 33(約1.06)のギヤは、特に峠でその本領を発揮します。
- タレてきても、なんとか回し続けられる
- 心拍を上げすぎずに登れる
- 「もう足付きか?」と思う場面で、もうひと踏ん張りできる
フレームの優しさとローギヤの軽さの組み合わせは、
本当に「貧脚に優しい」セットアップです。
峠の上りでは特に、「ああ、このギヤ比で良かった…」と感じることが多いです。
それでいてトップ側はしっかり踏める
48 ÷ 10 = 4.80 のトップギヤは、平坦〜下りの高速区間でも十分に重く、
- 下りでしっかり踏みたいとき
- 追い風区間でスピードに乗せたいとき
- ちょっとしたスプリント気味の加速
こういった場面でも「足りない」と感じることはありませんでした。
下りの高速区間でも十分踏めるので、まさにオールラウンドなギヤ構成です。
結論:ホビーライダーこそ SRAM FORCE が“最適解”
レース志向で、効率だけを突き詰めるならまた違う選択肢もあると思います。
しかし、私のような 50代ホビーライダーにとっては、
- ローの軽さ
- トップの伸び
- ワイドレンジの恩恵
これらを総合して、
SRAM FORCE AXS は「めちゃくちゃちょうどいいコンポ」
だと感じています。
SRAM、なかなかいいです。
欠点としては、流通量があまり多くない点はデメリットかもしれません。
11. Roval Rapide CL III の性能は本物(ホイールレビュー)
SL8 PRO 完成車に付属する
Roval Rapide CL III は、ホビーライダー目線でもかなり「本気のホイール」だと感じました。
リムハイトとバランス
- フロント:51mm
- リア:48mm
フロントを少し高く、リアをやや抑えたリムハイトで、
空力と横風耐性のバランスを狙った設計になっています。
DURA-ACE C60 と似たワイドリム形状
以前 DOGMA F8 に装着していた
シマノ DURA-ACE R9100-C60 とよく似たフォルムで、
- タイヤよりもリムのほうが幅広のワイドリム
- 見た目にもエアロ感が強い
という特徴があります。
おそらく空力性能はかなり高く、実走でもその「伸び」をしっかり体感できます。
向かい風が弱く感じるほどよく進む
SL8 本体の空力性能との相乗効果もあり、
- 向かい風での失速感が少ない
- 巡航速度を保ちやすい
- ロングライド後も脚が残りやすい
といったメリットを強く感じます。
CXL3 のような「軽さ」はないものの、
ホビーライダーには十分すぎる性能で、むしろエアロ寄りの恩恵が大きく感じられました。
ハブ音が心地よく、所有欲を満たす
走り出したときの「サーッ」というハブ音も上質で、
「いいホイールを使っているな」という満足感があります。
見た目・走り・音の三拍子が揃っていて、
完成車付属ホイールとしてはかなり贅沢な部類だと思います。
12. 現在のカスタムと今後の楽しみ

現状、SL8 PRO には以下のようなカスタムを施しています。
- SPEEDPLAY ペダル(チタンシャフト化)
- 自作サドルマウント
- フロントライト用防眩シェード
さらに、3Dプリンターを活用しているので、
今後は SL8 専用のカスタムパーツを設計・製作していく予定です。
- サドル周りのマウント類
- ライト・レーダー用の専用ブラケット
- 配線・アクセサリの取り回しを整えるパーツ など
「走る楽しみ」だけでなく、「いじる楽しみ」も含めて、
これからまだまだ一緒に育てていける一台だと感じています。
13. SL8 PRO が向いている人/向かない人
SL8 PRO が向いている人
- 50代前後で、身体に優しいバイクを探している人
- ロングライドを中心に楽しみたい人
- 乗り心地・快適性を最重視したい人
- 下りやブレーキに不安を感じている人
- ワイドレンジのギヤで、無理なく坂を登りたい人
- 1台でオールラウンドに使えるバイクが欲しい人
SL8 PRO が向かない人
- とにかく剛性最優先でガチレース志向な人
- 超軽量バイクだけを追い求めたい人
- 価格よりも「とにかく安さ」だけで選びたい人
- 完成車ではなく、フレームから1つ1つ自分で組みたい人
14. 総評:SL8 PRO は“これからの10年を支える相棒”
SL8 PRO に乗り換えてから、
ライドの楽しさと「また走りたい」という気持ちが、明らかに戻ってきました。
- 乗り心地が別格
- 空力が本気で効く
- ディスクブレーキの安心感
- SRAM Force AXS のワイドレンジが現実的に使いやすい
- Roval Rapide CL III も含めて完成車のパッケージが優秀
- ロングライドが素直に楽しくなる
一言でまとめると、
SL8 PRO は、50代の身体にフィットする“優しいオールラウンダー”
スピードより“楽しさと継続”を重視する今の自分に、
これ以上ない相棒になってくれました。
「これからの10年を一緒に走るバイク」として、
ターマック SL8 PRO を選んで本当に良かったと感じています。
